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旅先でも、ふとギターを弾きたくなることがあります。
ホテルに着いて荷物を置いたあと。仕事が終わって少し時間が空いた夜。景色のいい場所を見つけたとき。
そんなとき、部屋の隅にギターが一本あったら気持ちよさそうです。
でも普通のギターを旅行に持っていくとなると、話は別です。
大きい。気を使う。エレキなら重い。さらにアンプやエフェクターまで考え始めたら、音楽旅行というより機材運搬になってしまいます。
そこで気になったのが、Donner(ドナー)のトラベルギター、HUSH I ProとHUSH X Proです。
アコースティックタイプのHUSH I Proと、エレキタイプのHUSH X Pro。
「いつでもギターを弾きたい。でも、ギターを運ぶこと自体を旅の目的にはしたくない」
そんな人には、かなり面白い2本だと思います。

ギターを持って旅するハードルを下げてくれる
この2本の一番の魅力は、やはり持ち運びやすさでしょう。
HUSH I Proは約2.2kg、HUSH X Proは約2.4kg。どちらもヘッドレス構造で、演奏時に身体を支えるフレームを取り外せます。HUSH I Proは収納時の専用ケースの寸法が約84×17×8cmと、普通のギターケースとはかなり違う細身の形になります。
木製のアコースティックギターを旅行に持ち出すと、ぶつけないか、湿度は大丈夫かと気になります。
エレキギターなら、丈夫そうに見えて今度は重量があります。
若いころなら「ギターくらい背負えばいい」と思えても、旅行カバンにギターケースまで加わると、だんだん楽器への愛情が筋力テストに変わってきます。
HUSHシリーズなら、必要なときだけ組み立てて弾き、終わったら細く収納する。
この身軽さがいいのです。
しかも、大きなギターケースを背負って歩くのに比べると、「これからギターを弾きます」という主張が控えめなのもいい。
旅行者だけでなく、出張先で練習したい人にも向いていそうです。
HUSH I Proか、HUSH X Proか
このシリーズの中でも、特に気になるのがこの2本です。
HUSH I Proはアコースティック系。
8種類のアコースティックギターボディのシミュレーションと18種類のエフェクトを内蔵し、ヘッドフォンやイヤホンでも演奏を楽しめます。通常の1/4インチ出力も備えています。
以前紹介した、Ed SheeranとOrangeによるOutlowdシリーズのようなアコースティックアンプにつないで遊ぶのも面白そうです。OrangeのOutlowdシリーズ自体が、自宅からバスキングまで持ち出して演奏することを意識して作られています。
旅先でHUSH I Proと小さなアンプを取り出して、ちょっと鳴らす。
想像すると、なかなか気持ちよさそうです。

一方のHUSH X Proは、エレキギターらしい遊び方ができます。
ギターサウンドのシミュレーションに加えて、オーバードライブ、アンプ、キャビネット、リバーブ、ディレイなどを本体に搭載。ヘッドフォンを挿せば、大きなアンプやエフェクターボードを広げなくても音作りを楽しめます。内蔵チューナーもあります。
ロックを弾きたいなら、私ならこちらを選びます。
旅先でケースを開け、フレームを取り付け、ヘッドフォンをして音を作る。
ホテルの部屋が小さな練習室になります。
「サイレント」でも、本当に夜中に弾いて大丈夫?
ここは少し慎重に考えたいところです。
私は昔、真夜中にアンプへつながずエレキギターを練習することがよくありました。
自分では「生音だから大丈夫だろう」と思っていたのですが、離れた部屋で寝ていた母親から、
「ジャカジャカうるさいから止めて」
と何度も注意されました。
エレキギターでも弦の音はしますし、ボディや床を通じた振動もあります。静まり返った深夜には、こちらが思っている以上に聞こえるものなのでしょう。
HUSH I Proは共鳴を抑えた構造による静かな演奏を特徴としていますが、「無音」という意味ではありません。
ですから真夜中のホテルでも、絶対大丈夫、とは考えないほうがよさそうです。
ただ、人が普通に活動している時間帯に、ヘッドフォンを使って控えめに練習する。
そんな使い方なら、このギターの良さがかなり生きてきそうです。

身軽さと引き換えに、少しだけ手間もある
もちろん、普通のギターより面倒なところもあります。
まず、ケースから出しただけでは完成しません。
着脱式フレームを取り付ける必要があります。立ってストラップで弾くならともかく、座って弾くには身体を支える下側のフレームはかなり重要でしょう。
普通のアコギなら、ケースを開けてチューニングすればすぐ弾けます。
その「すぐ弾ける感」では普通のギターにかないません。
ヘッドレスならではのチューニング操作にも、最初は戸惑いそうです。
一般的なギターなら左手側のヘッドにペグがありますが、HUSHシリーズでは弦を巻く機構がボディ側にあります。長年普通のギターを弾いてきた人ほど、つい身体がいつもの動きをしてしまいそうです。
そして着脱するフレームやケーブルなど、持ち歩く物もあります。
私はこういう小さな物をなくす自信があります。
旅行から帰って、
「片方どこへ行った?」
となったら悲しいので、収納場所を決めておいたほうがよさそうです。
もうひとつ注意したいのがBluetoothです。両機ともスマートフォンなどから音楽を入力するBluetooth機能はありますが、Bluetoothイヤホンへの音声出力には対応していません。ヘッドフォン練習は基本的に有線です。
ギターを持っていくか迷わなくなる。それが一番いい

Donner HUSH I ProとHUSH X Proは、普通のギターをそのまま小さくしただけの商品ではありません。
フレームを取り付けるひと手間もある。
ヘッドレスのチューニングにも慣れが必要。
生音が完全に消えるわけでもありません。
それでも私は、この2本を見ていると旅に持っていきたくなります。
ギターを弾くために旅行するのではなく、旅行の中に自然にギターを混ぜられそうだからです。
アコースティックな音で遊びたいならHUSH I Pro。
エレキらしく音作りまで楽しみたいならHUSH X Pro。
毎日少しでもギターに触れていたい人にも、出張先でこっそり練習したい人にも、大きなギターケースを背負って歩きたくない人にも。
「今回はギターを置いていこうかな」
と諦めなくてよくなる。
それだけでも、このギターにはかなり魅力があると思います。
旅先のホテルで荷物をほどき、細いケースからギターを取り出す。
ヘッドフォンをつけて、好きな曲を一曲。
そんな時間は、きっと気持ちよさそうです。





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